Lesson3-1 姿勢 所作

エレガントな「話し方」やTPOに応じた正しい「マナー」が身についていても、それらにエレガントな「動き」がともなっていなければ、総じて相手に好ましい印象を与えることはできません。

エレガントな立ち居振る舞いには、以下2つの基本があります。

①ムダなくゆっくり動く

たとえばスピーチの場面において、慌ただしく席を立ち、せかせかと歩いて壇上に上がる人を見て、あなたはどのような印象を持つでしょうか。もちろん見る人によって捉え方は異なるかもしれませんが、大抵は「落ち着きのない人」という印象を持つと思います。

それとは対照に、むだのない動きでゆっくりと席を立ち、風を立てない程度の速さで歩き壇上に上がる人は「落ち着きのある人」という印象が持てます。

②ムダなく小さく動く

たとえば子どもがよく「落ち着きがない」と言われてしまうのは、動きが小さいのに加えて細かくて、はやいからです。アメリカのオバマ元大統領は、演説において自分の身体よりも大きく手を動かしているので、聴衆は力強さとカリスマ性を感じていました。

ですが、エレガントに見せるには、手を自分の身体の近くで、小さく、ゆっくり動かすようにすることが大切です。小さく、ゆっくり動くことで親しみやすさと落ち着きを演出できます。

この2つの基本は、立っている時、座っている時、歩いている時、挨拶をする時、手を動かす時、コーヒーカップを持つ時など、様々な動きの中で心得ていただきたいことです。

ここからは、この2つの基本を頭に置いて、品のある立ち居振る舞いについて学習していきましょう。まずは、「美しい立ち方」からです。

美しい立ち方

美しく立つためのポイントは以下の6つになります。

1,かかとをそろえ、つま先とつま先の間をこぶし1つ分あけてV字にする

2,おへそ周りに力を入れ、お腹を凹ますように引っこめる

3,肛門に軽く力を入れるイメージで、ヒップを引き締める

4,頭のてっぺんから糸でつられているようなイメージで背筋を伸ばす

5,あごは床と平行に保つ

6,耳、肩、くるぶしが一直線になるように立ちます。

1~6の美しい立ち方を壁を使って簡単に行えます。頭・肩・ヒップ・かかとの4箇所を壁につけて、そのまま一歩前に出ます。このやり方でも簡単に美しい立ち方をつくることができます。

立ち姿勢の時の手の位置は「おへそ」の前で、利き手を下にして手を組むとエレガントに見えます。また、胃の前で手を組むとよりフォーマルな印象となります。

エレガントな立ち居振る舞いは、小さく動くことが基本のため、ご案内やものを指し示すときも大きく手を動かしてはなりません。美しい立ち方から、脇を軽くしめて、腕を床と水平にした状態で指し示します。このとき指先は、親指を内側折っておくとよりエレガントに見えます。

“立ち方”を見直すだけで、猫背やそり腰の発見、O脚改善やウエスト痩せなど、骨格改善にもつながります。

美しい座り方

オフィスやレストラン、カフェ、自宅など、椅子に座るときを見られる場面は日常で何度もあります。いつ見られても恥ずかしくないよう美しい座り方を身につけましょう。

椅子に座るとき

座るときは、前かがみの姿勢にならないよう上体をまっすぐに保ち、体勢がブレないよう片足を引き、引いた脚を支えにして垂直に腰を落とします。スカートを履いている場合は、片手でスッと押さえて座るとスマートに映ります。シワを気にしすぎて何度も撫でたり、両手で撫で下ろしながら座るのは上品ではありません。

椅子に座っているとき

美しい座り方の基本は、背もたれに寄りかからず、膝の角度は90度以下、指先が整っている状態を指します。脚を流したいときは、片足を引き、つま先を伸ばしましょう。膝が開いたり、両足を椅子の下に引っ込めてしまうと、品がなく、脚も短く見えてしまいます。

美しい歩き方

前述の美しい立ち姿勢で、かかとから着地して歩くのが、美しい歩き方の基本となります。さらに、視線をまっすぐ向けて歩くと凛とした印象になります。

また、階段を上るときもかかとをしっかりと階段に乗せて上るようにします。かかとを乗せなければ、楽で疲れにくいかもしれませんが、美しさを損ないます。ヒールを履いているときは、手すりを利用することも多いですが、手すりはつかむのではなく、軽く添える程度にし、目線を少し上に向けて歩くとエレガントに見えます。