美しい話し方には、正しい言葉遣いだけではなく、相手に届く聞き取りやすい声で話すことも大事です。
まずは、聞き取りやすい声を出すために必要な要素について学んでいきましょう。
聞き取りやすい美声をつくる腹式呼吸
声が小さい、聞きづらいと言われる理由のひとつに「呼吸が浅い」ことが挙げられます。
相手に伝わる声、よく通る・良く響く声を出すには、深く呼吸をすることが大切です。
そして、深く呼吸をするために必要なのが腹式呼吸です。
胸を動かす胸式呼吸は、「浅くて、速い呼吸」になりやすく、安定した声を出すには不向きです。息を吸ったときにお腹が膨らんで、息を吐きだしたときにお腹が凹む腹式呼吸では、空気をたくさん取り込み、吸い込んだ息が全て声になって出ていくため、「相手に伝わる声」が出せるようになります。またのどを痛めるのを防ぐこともできます。
腹式呼吸を身に付けるエクササイズ
鏡の前で練習すると、お腹と口の動きが分かりやすいのでおすすめです。
①肩幅に足を開く
②肺の空気を一度、歯と歯の間から「すーっ」と全て吐き出す
③お腹に手を当て、お腹が膨らんでいることを確認しながら鼻から息を吸い込む
④お腹を凹ませながら、もう一度息を吐き出す
※このときゆっくり体を前傾させながら行うと、お腹が凹みやすくなる
⑤全て息を吐き出したら、ゆっくり体を戻す
上記を繰り返し行うことで、正しい腹式呼吸が身に付きます。
大きな声を出すエクササイズ
さらに、お腹から「大きな声」を出すことがボイストレーニングの基本です。
口を大きく開けて、お腹から大きな声を出すことを意識しましょう。
①のどをできるだけ開きながら声を出す。
※あくびをしたときに口の中に空間ができるときの状態で「あ」と声を出すイメージで
②「あ」と発音すると同時に息を全て出し切り、お腹を凹ませる
③②の手順で「あ、い、う、え、お、あ、お」とア行から五十音順で発音をおこなう
「あ、い、う、え、お」の口の開き方を覚える
「あ、い、う、え、お」の正しい口の開き方や発音を覚えることで、滑舌が良くなり、きれいに話すことができるようになります。
唇のかたちや口の開き方に注意し、声を出してみましょう。
【あ】人差し指と中指をつけた状態で2本指が入るぐらい口を縦にあける
【い】口角を上げた状態で横にひいて、「い」と発音する
【う】唇を鼻よりも前に突き出す感じで「う」と発音する
【え】「あ」と「い」を小さくした状態で発音する
【お】「あ」を小さくすると「お」の音になる
ほどよい速さで相手が聞き取りやすいように話す

相手に一番伝わりやすい話し方のスピードは「1秒間に3~4文字」、400字を読み上げるのに「約2分」かかるスピードが最適と言われます。
400文字程度で自分の自己紹介文を用意してみたり、小説などを400文字で区切って実際に時間を測って読み上げてみましょう。
「2分以内で読み終えてしまった」という人は、もしかしたら周囲から早口で話すという印象を持たれているかもしれません。いつもよりゆっくり話し、落ち着いた印象を演出しましょう。
次のようなポイントに気を付けることで、より良い話し方ができるようになります。
・話し方のスピードが途中で変わる
・会話に「間」がないので、聞き取りにくい
・文章の切れ目(文節の切れ目)で、声が強くなる(大きくなる)
スマートフォンやデジタルカメラを利用して、自分の声を録音してみると、自分が普段どんな話し方をしているのかを客観的にチェックすることができ、話し方のクセに気づけるので、スピーチや会話に自信が持てるようになります。