Lesson6-8 冠婚葬祭にまつわるマナー/「祭」②

4~6月

端午の節句(5月5日)

別名「菖蒲の節句」と言われているこの行事は、元々は女性を中心としたものでしたが、「菖蒲」が「勝負」や「尚武」に通じることから、武士の台頭とともに男子の節供へと変化しました。
現在この日は「こどもの日」となり国民の祝日にされています。

この日は、鯉のぼりをたて、五月人形を飾り、ちまきや柏餅を食べ、菖蒲湯に入る習慣があります。それぞれには、下記のような意味があります。

・鯉のぼり:鯉が滝をのぼって龍になるという伝説から、立身出世のシンボル
・菖蒲湯:香り高い菖蒲で邪気を祓い、無病息災を祈る
・柏餅:新芽がでないと古い葉が落ちない柏の木の性質から「跡継ぎが絶えない」=子孫繁栄

夏至(6月21日頃)

1年のうち、もっとも日照時間が長くなる日です。

7~10月

七夕(7月7日)

牽牛星(ひこ星)と織女星(織姫)の2つの星が、年に一度天の川を挟んで逢えるという伝説や2つの星を祀って裁縫や書道の上達を祈願する習慣、日本古来の農村に伝わる棚機津女(たなばたつめ)」の習慣などが重なって生まれた行事です。

現在のように願い事を書いた短冊を笹竹に飾る習慣は、江戸時代ごろからと言われています。

お盆(7月13~16日/8月13~16日)

期間は地方によって、7月に行われる場合と8月に行われる場合があります。
祖先の霊を供養する仏教行事で、一般的には7日ごろに墓掃除を行い、13日の夕方に「迎え火」を焚いて祖先の霊を迎えます。
期間中には、各地で盆踊りなどが行われ、16日の夕方には「送り火」を焚いて先祖を見送ります。

重陽の節句(9月9日)

中国の陰陽の考え方において、奇数は縁起が良いとされ、「陽の数」である「9」が重なる9月9日は特別めでたい日と考えられていました。
この日は「菊の節句」とも言われ、菊を飾り家族の長寿を祈願します。

「十五夜」と「十三夜」

奈良や平安時代には貴族の間で、月を鑑賞して俳句や短歌を詠む宴が行われていたように、日本では昔から月を愛でる風習がありました。

とくに、旧暦の8月15日(現在の9月18日前後)の満月は「十五夜」、「中秋の名月」などを呼ばれ、すすきなどの秋の七草を飾り、お団子や里芋を供え、お月見をする習慣があります。

十五夜に対して、旧暦の9月13日(現在の10月下旬頃)は「十三夜」、「名残の月」「後の月」などを呼ばれます。すすきなどとともに、豆や栗をお供えすることから、「豆名月」「栗名月」などと呼ばれる場合もあります。

11~12月

新嘗祭(11月23日)

現在は、「勤労感謝の日」で国民の休日として制定されています。
戦前までは「新嘗祭」と呼ばれ、その年に収穫した穀物を天皇が神に供えて感謝をする宮中行事が行われる日とされていました。

かつて農業の生活が基盤であった日本にとって、新嘗祭は新年にも匹敵するほどに大事な行事として扱われていました。特に、天皇が即位して最初に行う新嘗祭は「大嘗祭」と呼ばれます。

冬至(12月22日頃)

1年のうち、もっとも日照時間が短くなる日です。
1年間風邪をひかずに健康に過ごせるように、冬至かぼちゃを食べたりゆず湯に入ったする習慣があります。また、れんこんやみかん、こんにゃくなど「ん」のつく食べ物を食べると「運」に恵まれるとも言われています。

大晦日(12月31日)

各月の末日のことは「晦日」や「つごもり」と呼ばれます。とくに1年の最後の末日である12月の末日のことは「大晦日」と呼ばれ様々なしきたりがあります。

・年越しそば:長くてコシのあるそばを食べ、健康長寿の縁起を担ぐ
・除夜の鐘:人間の煩悩の数とされる108回鐘をついて、煩悩を取り除く

昔は、歳神様を迎えるために終夜眠らずに過ごすことがしきたりとされていたようです。