Lesson6-7 冠婚葬祭にまつわるマナー/「祭」

ここでは、季節・月ごとの祭りごとや年中行事についての基礎知識やしきたり、マナーについて学習していきましょう。

1月

正月

新しい年は歳神様が連れてくるものだとされていて、1年の始まりは、新しい歳神様を祀り、五穀豊穣や家内安全を祈るものでした。これが「正月」の起源です。
正月の中でも、1月1日を「元日」、その日の朝を「元旦」または「歳旦」と呼びます。

正月は日本人にとって重要な儀式であり、現在でもおせち料理、鏡餅、雑煮などの伝統的なしきたりが残っています。

<門松、しめ飾り>

松の木に宿るとされる歳神様を迎えるために、門に門松を飾ります。門や玄関に向かって左側に雄松、右側に松葉が細く短い方の雌松を飾ります。

「しめ縄」は神社や神棚などに張り巡らせるもので、そこが神聖な場所であることを示します。「しめ飾り」はしめ縄にシダの仲間であるうらじろ、ゆずり葉、だいだいなどをあしらって作るもので、玄関の戸口に飾り、家に災いをもたらす悪霊や不浄を絶ちます。

<おせち料理>

昔は季節の変わり目である節日に、神様にお供する「節供(節句)料理」を作っていましたが、次第に年中行事の中で最も盛大に祝われる正月に振る舞われる料理だけを「おせち」と呼ぶようになり、今日に受け継がれています。

料理の内容は地方によって異なりますが、4段重ねのお重に、品数が奇数になるように詰めるのが基本です。

一品一品はごろを合わせた縁起物で作られ、それぞれに次のような意味が込められています。

・黒豆:邪気を祓い「まめ(健康)に暮らす」「まめまめしく働く」
・数の子:多くの卵を産むニシンのように子孫繫栄
・田作り(ごまめ):昔田んぼの肥料であった小魚にちなんで、豊作祈願
・昆布巻:「よろこぶ」の語呂合わせ
・鯛:「めでたい」
・ごぼう:地下にしっかりと根を張るごぼうのように「一家の土台が安定するように」
・里芋:子芋が多い里芋のように「子宝に恵まれるように」
・紅白なます:紅白の色のめでたさと、大根には消化を助ける働きもある
・栗きんとん:きんとんとは「金が詰まった」という意味で、豊かな一年を願う

<鏡餅>

鏡に見立てた丸餅のことを鏡餅といいます。神様の依り代と考えられていて、一般的には三方の上に奉書紙を敷き、「四手(紙垂)」と呼ばれる神事に使う切り込みを入れた白い紙を垂らして、長命を願う「うらじろ」と後世にまで福を譲り、家系が続いていくことを願って「ゆずり葉」の上にお餅をのせ、その上に昆布、そして「だいだい」を飾ります。ちなみにだいだいには、「家が代々栄える」との願いが込められています。

<雑煮>

元々は、歳神様に供えた餅や供物を下げて一緒に煮たものを指していました。地方によって餅の形や具、だしの種類まで様々です。

<屠蘇>

家族の無病息災を祈り、元旦に飲みます。若い人から順に飲むのがしきたりで、年長者が年少者の未来にあやかって若々しくいられるようにとの願いが込められています。

<お年玉>

元々は歳神様に供えた餅を下げて、年少者に「年玉」といって分け与えていたのが始まりです。目上の人から下へ渡すのを「お年玉」、目上の人に下の人が年始の挨拶として渡すのは「お年賀」と言います。

2~3月

節分(2月3日頃)

節分とは「季節の分かれ目」を指します。元々は、立春、立夏、立秋、立冬の前日を指していましたが、現在では立春の前日のみを指します。

節分の日に行う豆まきは、炒った大豆を神棚に供えたあと、年男が「鬼は外、福は内」と唱えながら豆をまき、その豆を年齢の数(数え年の数)だけ食べて福運と無病息災を願うものです。

最近では、恵方に向かって太巻き寿司をかじり、福を呼ぶという関西地方の風習も広がっています。

立春(2月4日頃)

暦上では春が始まる日です。
古来は春が1年の始まりと考えていたので、この日は新しい年の始まりでもありました。

雛祭り(3月3日)

雛祭(桃の節句)は雛人形を飾り、菱餅、ひなあられ、白酒、桃の花などを供えて女の子の成長を祝う行事です。

雛祭りのお供えや祝い膳には以下のようないわれがあります。

・桃の花、白酒:中国で桃の木には邪気を払う力があるとされ、桃花酒を飲んだことが由来
・菱餅:菱餅の三色は「雪が解け、緑が芽吹き、花が咲く」様子を表している
・雛あられ:元は菱餅を細かく切ったものでした。
・ハマグリの吸い物:ハマグリの殻が同じ貝どうししか合わないことから、女性の貞操を表す
・ちらしずし:女の子の健康を願い、海や山の幸を使ったといわれる

彼岸(3月中旬、9月中旬)

春分の日と秋分の日の前後3日間の1週間を「彼岸」と言います。
彼岸の初日は「彼岸の入り」と言い、祖先の霊を迎えるために仏壇や墓の掃除をし、だんごやぼたもちを作り、花とともに供えて供養します。
春分の日は「彼岸の中日」、最後の日は「彼岸明け」と呼ばれ、その間に「彼岸会」という法要が行われます。