Lesson6-1 冠婚葬祭にまつわるマナー/「冠」

成長や季節の変わり目など、人生の節目に行われる重要な行事を称して「冠婚葬祭」と言います。

冠婚葬祭の「冠」とは、とくに誕生から長寿の祝いなども含めた通過儀礼一般をさします
ここでは、「冠」にまつわるマナーやしきたりについて学んでいきましょう。

日本の通過儀礼

日本には、人生の節目節目に様々なお祝いごとやしきたりが存在します。

帯祝い
妊娠五ヶ月の戌の日に「岩田帯」と呼ばれる腹巻を巻き、安産を祈るとともに、これから生まれてくる赤ちゃんを認知する儀式です。

お七夜
赤ちゃんが誕生して7日目を「お七夜」と言い、命名式を行います。赤ちゃんの名前と生年月日を書いた紙を、この日から1ヶ月ほど神棚や床の間などに飾ります。

お宮参り
土地の守り神である「産土神(氏神様)」に参拝し、赤ちゃんの幸せを祈る儀式です。生後1か月目あたりに行う地域が多いようです。

お食い初め
生後100日目に、一生食べ物に困らないようにという願いを込めて行う儀式です。「箸祝い」「箸初め」「百日(ももか)の祝い」とも呼ばれます。赤ちゃんの口へ食べ物を運ぶ「箸役」は長寿の願いを込めて、同性の年長者にお願いします。

初節句
女の子は3月3日の「桃の節句」、男の子は5月5日の「端午の節句」がこれにあたります。
女の子にはひな人形、男の子には鎧やかぶとなどの節句飾りを贈って、初節句を祝います。生後1~2ヶ月で節句を迎える場合には、翌年に祝うことも多いです。お祝いを贈る場合には、半月ほど前から当日までに贈るとよいでしょう。

初誕生
1歳の誕生を祝い、健康に育つようにという願いを込めてお祝いに餅をつき、足腰が丈夫になるようにとの願いを込めて「誕生餅」として子供に背負わせて歩かせたり、足で踏ませたりします。

成人式
昔の「元服式」に由来する儀式です。20歳の成人を祝います。

年祝い
長寿の祝いは「年祝い」や「賀寿」と呼ばれ、古くから人生の大切な祝い事として受け継がれています。

61歳の還暦、70歳の古稀、77歳の喜寿、80歳の傘寿、88歳の米寿、90歳の卒寿、99歳の白寿、100歳の百寿が主な年祝いです。

出産祝い

出産祝いは赤ちゃん誕生後1週間~1ヶ月以内とされています。すぐに行けない場合には、お祝いのカードを送るなど、気持ちを伝える心遣いをすると喜ばれます。
いずれのお祝い・お返しも、紅白の蝶結びの水引で、のしを付けます。表書きは「御祝」「御出産祝」などとします。金額の相場は、きょうだいが1~3万円、親族が1万円、友人が5000円~1万円とされています。

お返しは表書きを「内祝」とし、赤ちゃんの名前を入れた掛け紙をかけます。お返しの額はいただいたお祝いの半額~3分の1程度が目安です。

七五三のお祝い

男の子は3歳と5歳、女の子は3歳と7歳の11月15日に氏神様に参詣します。昔は数え年で行うのが一般的でしたが、最近は満年齢で行う場合も多いようです。

七五三のお祝いを贈る場合は表書きを「七五三祝」とし、5000円~2万円程度の金額を贈ります。七五三は内々の祝い事なので本来は親戚などが中心ですが、親しい友人などの子供で、どうしてもお祝いがしたい場合は、相手に負担を感じさせない程度の贈り物にしましょう。
時期は11月に入ってから当日までに送るのが一般的です。

お返しは、神社に参詣後、千歳飴や赤飯などを持参してお礼のあいさつに伺うのが通例でしたが、現在は祖父母などの親しい人を招いて会食をし、それをお返しの代わりとすることも多いようです。
お礼に伺えない場合は、1週間以内に子供の名前で内祝いを贈ります。
お返しの額はいただいたお祝いの半額程度が目安です。