西洋料理のマナーを身に付ける
西洋料理には、フランス料理、イタリア料理、スペイン料理など様々な料理がありますが、一般的な料理の出し方には「フルコース」と「一品料理(アラカルト)」の2つがあります。
ここでは、基本となるフルコースの食事のいただき方について、詳しく見ていきます。
カトラリーの使い方

ナイフやフォーク、スプーンを総称してカトラリーといいます。
コース料理ではテーブルに位置皿を中心に食器がセットされています。
ナイフとフォークは出される料理に合わせて、外側から内側に向かって順番に並んでいるので、外側から順に使っていきます。
万一、落としてしまった場合には、「失礼しました」と同席者に一言詫び、軽く手を挙げて接客係に拾ってもらうようにお願いします。自分で拾おうと身をかがめるのは、他人の足元を覗くようで失礼にあたります。
利き手に関わらず、ナイフは右手、フォークは左手に持って食べるのが基本です。
どうしても利き手でないと使いづらいという場合には、左右逆に使っても良いですが、あらかじめ並べられたナイフとフォークを左右逆に並べ替えるのはマナー違反です。
また、カトラリーを扱うときにはカチャカチャと音をたてたり、ナイフやフォークを持ったまま身振り手振りでおしゃべりをしないように注意しましょう。
食事のいただき方
①前菜(オードブル)
最初に出される料理で、大皿に盛り合わされた場合と一皿ずつになっている場合があります。
大皿の場合は、基本的には自分で取り分けますが、ウエイターが取り分けてくれたり、取り分けられた運ばれてくるケースも多いようです。
ウエイターから料理の皿が出されたら、スプーンを右手に、フォークを左手に持ち、各種類1つずつ自分の皿に取ります。
②スープ
欧米ではスープは「飲む」ものではなく、「食べる」ものです。日本人は音を立ててすすることをあまり気にしませんが、欧米をはじめどこの国でも音を立てて飲むことは不作法です。スプーンに唇をつけ、流し込むようにして静かにいただきましょう。
スープが少なくなったら、皿の手前を少し持ち上げて傾け、スプーンの先ですくいます。この時、皿が完全に持ち上がらないように注意しましょう。
③パン・ライス
通常コース料理では、スープの前後にパンが出されます。
バターを取るときには、バターナイフで自分の皿に使う分だけ取り分けます。備え付けのバターナイフは元に戻し、パンに塗るのは自分のバタースプレッダー(ナイフ)を使います。
食べる分だけ都度塗るようにし、最初に全体に塗ってしまわないようにしましょう。
パンは皿の上で一口大にちぎって口に運びます。
丸ごとかじったり、ナイフで切ったり、全部先にちぎるのは不作法です。
パン皿がない場合は、テーブルクロスの左側に直接置き、料理皿の上でパンをちぎって食べます。
パンに代わってライスが出されるのは日本だけです。そのため、正式な食べ方というものはありませんが、フォークを右手に持ち替えてすくって食べるのが一般的です。
④魚料理
・頭をフォークで押さえ、中骨に沿って尾に向かって切り込みを入れる。
・奥の身を手前に置いて左から一口大に切って食べます。手前も同様です。
・骨と身の間にナイフを入れ骨を外したら向こう側へ置き、裏身を食べる。
切り身のものや柔らかくて骨のない魚の場合には、フォークだけで食べてもかまいません。
レモンなどが添えられている場合には、薄い輪切りのレモンはナイフで軽く押しつぶし、魚の上を滑らせて全体に果汁をいきわたらせてから食べます。
伊勢海老のように殻に入っているものが出された場合には、ナイフとフォークを使えば簡単に取り出せように調理されているので、フォークで身を押さえ、身と殻の間にナイフを入れ、ナイフとフォークで挟むようにして取り出します。
取り出した身を手前側において、左側から一口大に切っていただきます。
⑤肉料理
ステーキは、左側から都度一口大に切りながらいただきます。
鶏肉などんの骨付き肉は、フォークで肉を押さえ、骨に沿ってナイフを入れ、骨と肉を外します。
フィンガーボールが出ているときは骨を手で押さえても良いですが、必ずナイフで一口大に切って食べます。
⑥付け合わせ
魚料理や肉料理に付け合わせとして添えられている温野菜やクレソン、バターライスなどは、同時に食べ終わるように肉や魚と交互に食べるのがスマートです。
転がりやすい小さな豆などは、フォークを右手に持ち替えてすくったり、フォークの背で軽くつぶします。大きな豆などはすべらないようにナイフで軽く押さえ、フォークで刺して食べます。
⑦サラダ
肉料理に合わせて別皿で出されます。肉用のナイフとフォークでいただきます。
小さなサラダボウルで出された場合にはフォークだけを使いますが、レタスなどの大きな葉やアスパラなどの長いものはナイフで小さく切ります。
⑧デザート・フルーツ・コーヒー
アイスクリームやシャーベットは容器を左手で軽く押さえ、手前から一口ずつスプーンですくって食べます。ウエハースがそえられていたら、手で持って交互にた食べ、食べかけのウエハースは食べ口が人に見えないように置きます。
ケーキ類は、デザート用のナイフとフォークで左側から一口大に切って食べます。
パイ生地など崩れやすいものは、最初に真ん中で半分に切り分けておきます。
フルーツは基本的にはナイフとフォークを使いますが、ブドウやヘタつきのイチゴは手で持ってもかまいません。
コーヒーに角砂糖を入れる場合には、シュガートングで直接入れるとコーヒーがはねるので、一度スプーンの上に取ってから静かに沈めるとスマートです。
使い終わったスプーンはカップの向こう側におき、コーヒーカップの受け皿を持ち上げないようにして飲みます。