Lesson5-1 食事のマナー/和食・日本料理の基礎知識

日本料理は品数が多く、一品ごとの量が少ないことが特徴です。器とのバランスや盛り付けの美しさを楽しみながらいただきます。

おなじみの料理も、家庭と同じように食べていると、知らないうちに恥をかいているということも少なくありません。この章では、会席料理を中心に、日本料理の正しい食べ方について学習していきましょう。

和食のマナーを身に付ける

日本料理は主に3種類に分類されます。

1、本膳料理

室町時代に確立され、日本料理の基礎であり、もっとも伝統的で格式高い料理。
基本構成は一汁三菜(飯、汁、向付け、煮物、焼き物)で塗りの脚付き膳に「一の膳」から「五の膳」まで料理が並べられます。
通常、「与(四)の膳」と「五の膳」は土産用として持ち帰り、箸はつけません。

2、懐石料理

茶会の席で出される一汁三菜を基本とした料理。
その後の濃茶を美味しくいただくことを目的として、作られました。

3、会席料理

一般に結婚披露宴や料亭、旅館などで出されるコース料理がこれにあたります。

ここからは、日本料理の大半を占める会席料理のマナーについて詳しく学習していきます。

会席料理のいただき方

会席料理は出された順に箸をつけます。
食べきらないうちに次の料理が出てきた場合は、運ばれた料理に一度箸をつけた後で、残っている料理をいただくようにします。

また日本料理では、焼き魚・刺身・天ぷらなどの平皿や大皿を除き、茶碗やお椀、小鉢、小皿などを手に持って食べます。器を取り上げるときは、いったん箸をおき、両手で器を手前まで運んでから、料理をいただきます。

汁が垂れるからと手を受け皿替わりにしたり、卓の奥に器があるとき、箸を伸ばして料理を取るのはマナー違反なので注意しましょう。

①先付け

料理の合間に楽しむ酒の肴、前菜です。

汁気のない平皿のものは置いたまま、小鉢は器を持っていただきます。串ものは、箸で押さえながら串から引き抜いて食べます。抜いた串は皿の向こう側へ置きましょう。

②吸い物

旬の魚介や野菜を用いた汁ものが出されます。

ふたつきの椀は左手で器を支え、右手で蓋を取ります。このとき蓋の水滴を器の中に落とすようにして手前から開けます。蓋が取りにくい場合には、お椀のふちを手で挟み、軽く押すと取りやすくなります。

・蓋を置くときは、左手を添えて蓋を裏返し、器が右側にあれば右に、左側にあれば左に置きます。

・食べ終わったら元通りにかぶせます。器を傷つける恐れがあるので、裏返して重ねたりしないように注意しましょう。

③向付け(お造り)

旬の魚介の刺身が出されます。

・盛り付けをなるべく崩さないよう、左手前、右手前、中央奥の順でいただきます。
・わさびは刺身に付け、刺身にしょうゆをつけるようにします。
・口に運ぶときは、しょうゆが垂れないよう、しょうゆの小皿か懐紙を添えましょう。

④焼き物

会席料理のコースの中心で、魚介を焼いたものが出されます。

・焼き魚は頭側から箸をつけ、尾に向かって食べます。
・上身を食べ終えたら、左手で魚の尾を押さえ、骨と身の間に箸を入れて中骨を外します。
・外した骨を向こう側におき、下の身を食べます。

⑤煮物

小ぶりの器なら手で持ち、大きめの器なら膳に置いたまま、懐紙や椀の蓋で煮汁を受けながらいただきます。
一口で入るものはそのまま、大きなものは蓋の裏にとって箸で切り分けるか、懐紙で口元を押さえて、歯で噛み切って頂きましょう。

⑥揚げ物(天ぷら)

盛り付けを崩さないよう、手前のものから天つゆをつけていただきます。
天ぷらは箸で一口大に切るか、そのままいただきます。
そのまま食べた場合には、噛み切ったものは皿に戻さず、全て食べきります。
口に運ぶ際には、つゆが垂れないよう、天つゆの器か懐紙で受けながら口に運びます。

⑦蒸し物・酢の物

蒸し物は茶碗蒸しが一般的です。
吸い物の椀と同じ要領で蓋を置き、両手で器を取って、左手にのせてからさじを取ります。
器が熱いときは、置いたままいただくか、器を懐紙で包み、手前からすくって食べましょう。

⑧止め椀、ごはん、香の物

コースの締めくくり。これらが出されたら、お酒を切り上げるのがルールです。
止め椀、ごはん、香の物の順に手を付け、止め椀とごはんは交互にいただきます。

⑨水菓子・甘味

食事の最後に果物または甘いものが出されます。

あらかじめ切れ目が入っているメロンやスイカなどは、右側からいただきます。
抹茶と和菓子が出された場合には、先に和菓子からいただきましょう。柔らかい生菓子は、一口分ずつ切ってからいただきます。